2021年9月に海釣りを始めた。正確には小学校の時には親戚のおじちゃんの小型ボートで若狭湾の沖で鯛サビキをやっていたが年に2~3回だったのでそれはカウントしない。
1人でクルマに乗って堤防に行って竿を出すのだが、なんで俺だけ釣れへんのや?と考えながら堤防で1人竿を出すのは最初はむず痒かった。
そんな初心者の時の過ち(というか初心者が釣れない理由)を書いていこうかと思う。誰も教えてくれない海釣りで魚を釣るための裏常識を。
そして初めて行く釣り場にどう準備すれば魚が釣れるかも書こうかと思う。青物やイカや良形アジやチヌなど人気のターゲットについても。
1. 良い魚が簡単に釣れるポイントは誰も教えない
3選と言ったものの、海釣り初心者が最初に勘違いしてしまうのはこの1つに尽きる。初心者は釣り場の情報を得ることがネットと釣り具屋以外では難しいため、釣り場に行く前はその情報に頼るしかない。ここでは渡船や遊漁船を使わない堤防釣りを前提とする。
例えば「徳島 釣果」で検索するとアングラーズやカンパリなどの釣りSNSサイトで最近の釣果情報を見ることが出来る。そして人気の釣り場の釣果情報を目にするだろう。2022年晩秋でいえば市内から近く青物が釣れている吉野川河口などだ。
それを見つけて週末にその釣り場に行くと、朝4時には堤防先端はもう先客がいるだろう。日の出の2~3時間前にはもう絶対先に誰か居ると思った方がいい。
堤防から人気のターゲットであるブリ・ハマチ・サワラ・サゴシ・シオ・アジ・サバ・タチウオなどは回遊性が強い。いわゆる回遊魚だ。そのため外洋に近ければ近いほど最初に釣れる確率が高いので人気のポイントとなる。
そんなポイントはたいがい堤防先端のため3人も入ればキャパオーバーだ。風向きやテトラの有無によっては実質1人しか入れないような場所も多い。その後に少し後ろで竿を出しても先客にはあまりいい顔をされないし、他にも客がたくさん居るからやり辛いだろう。
釣り初心者が渡船などを使わずにおいしい回遊魚を釣ろうと思うのならば、第一にその釣り場での釣り方を誰かに教えて貰うか盗み見して事前調査しておき、そして朝3時から場所取りをする。超人気の釣り場ならば前の日の19時ごろから入らないと一級ポイントには入れない可能性もある。(ハイシーズンの愛知県の豊浜釣り桟橋では週末の朝0時ごろ現地入りしても沖向かいは全て埋まっていた)。
秋の大阪の貝塚人工島や福井の敦賀新港もそうだ。前日入りで場所を取っていても人気スポットすぎて朝になると隣1.5mに入られることも全然珍しくない。
では釣り客も少ないのに良い魚が簡単に釣れるところはないのか?と言われれば、確かに存在する。大きく3種類に分けるとすると、1つはアクセスが恐ろしく悪い僻地。駐車場から徒歩30分かかる堤防や地磯など。2つ目は有料の釣り場。一文字など渡船を必要としたり駐車場代がべらぼうに高い等。3つ目はその釣り場で流行っていない釣りで自分の本命を狙うこと。
例えばアオリイカの実績のあるポイントであれば夜の港内にマイ集魚灯を焚いて釣りをすると一級ポイントでなくても釣れる可能性は大幅に上がるだろう。基本釣り人も魚も夜は常夜灯の下に集まるのでそこが人気ポイントとなってしまうが、自分で常夜灯を焚くならどこでもポイントになる。常夜灯がない釣り場ならあまり夜の人の出入りは少ないだろう。誰も真っ暗な中で釣りなんかしたくないからだ。
もう1つ、湾内でチヌを狙うのもオススメだ。チヌは本当に身近な所にいる。テトラや石畳があって過去に実績がある場所ならば真冬以外はほぼ間違いなく居る。釣れる釣れないは完全に腕と仕掛け次第だと思うとやる気も出るだろう。しかも真昼でも潮止まりでも本当にいつでも釣れるチャンスがある。真昼でも朝でも大型が釣れる。
ウキフカセをするならマキエを撒いていれば回遊チヌを足止めすることが出来、自分が座っている釣り座がポイントとなる。ただ同業者が先にいるとこちらのマキエと仕掛けが悪いと全部もっていかれる可能性もあるが、チヌが釣れるポイントは本当に至る所にある上にチヌ釣り師はそこまで多くない。そしてチヌ自体も生息数がやたらと多い。
例えば青物狙いのショアジギングでは釣れるポイントが3箇所に対して釣り人は20人としよう。チヌ狙いのウキフカセであれば釣れるポイントは5箇所でも釣り人は5人ぐらいなものだ。そのぐらい競争率が低い。釣れれば40cm以上も全然珍しくないのがチヌ釣りの魅力だ。
周りでサビキやルアーの民が激渋な中、1人だけ全然違うポイントでデカい魚を釣っていると堤防のヒーローになれるぞ。
2. 釣れない時間帯に竿を出している
2つ目は、釣れない時間帯に竿を出していることだ。これは人間の都合で釣行に行っている限りは魚は釣られてくれないという考えを持った方がいい。
釣り初心者でも、魚は日の出と日の入りの時間が一番活性が高いということは知っているだろう。朝まずめと夕まずめというヤツだ。日本語としてこれを読めば、裏を返せばそれ以外の時間も釣れなくはないと思うのではないだろうか?ところがどっこい、ほとんどの場合は朝まずめと夕まずめ以外の時間は絶望的だ。
その活性が上がるチャンスタイムを逃したら、その後はボウズでも仕方がないと思う習慣をつけよう。これから何度も堤防に釣行していると朝10時~16時ぐらいまでに釣れた本命魚がかなり少ないことに気づくと思う。そして朝8時ぐらいになると一気に釣り人が少なくなることに気づくだろう。
みんな帰ったけど俺はがんばる!と思うのは釣れる可能性を上げるのに重要だし情熱と体力がある限りは竿を出し続けるべきだが、特に回遊魚は本当にまずめ時しか現れない。そこにいるのに釣れないとかじゃなくてまずそこに居ないのだ。運よく目の前に来るまで竿を出し続ける根比べになる。
「俺昼間に釣れたよ」という釣り人がいても、その人が毎回昼に釣れてるかどうか確認した方がいい。おそらく数知れないボウズを乗り越えれて朝から夕まで竿を出し続けた日を重ねた上で昼に釣れているだろう。
早く諦めて朝マズメが終わったら帰った方が良いと言っている訳ではない。釣り人は目の前に魚がいないのに竿を出し続ける諦めが悪い生き物だ。
そこでようやく「魚の都合で釣りをする」ということに気付けたら大きな収穫だ。彼らも大して腹が減っていないのに針や糸が見えるものをリスクを取って捕食はしないし、潮の流れから逸れている場所にある食い物をわざわざ食いに行かないし、酸素やプランクトンが少なくなる潮止まりの時間にわざわざエネルギーを使って食い物を探しに行かない。
そして下げ潮止まり直前がよく釣れるとか、満潮潮止まり前後が釣れるとか、朝マズメの満潮下げ始めから下げ止まりまでの時間帯だけが勝負だとか、朝マズメが終わってその干潮後は本当に全く釣れなくなるということが経験でよく分かってくる。
魚にはその地域によって好き嫌いがあることは覚えておかなければならない。水中映像や釣果で実証されているが、青物ならトウゴロウイワシが群れていても無視してタカベやイワシを追いかけまわしていたり、チヌならマキエのオキアミに反応が薄くてもコーンやムギを腹いっぱい食べていたり、アミエビやイワシミンチが好物のアジでも植物性のエサ(パン粉)を混ぜると全然食わなくなったりなど、その釣り場で狙いの魚が何を食べているかが非常に重要になる。ここの情報が分からないなら自分で手あたり次第に探すことになる。
ルアー釣りならその釣り場でどの時間帯にどのカラーのどの形状のルアーでどう誘っているかをかなり細かく把握しておかないとボウズ逃れは難しい。泳がせもルアーもやっていて思うがフィッシュイーターの時合は本当に一瞬だ。同じ場所なら1日1回ぐらいしかチャンスがない。
3. ハリスと道糸と針を適当に選んでいる
最後に初心者が侮りやすいのがここだと考えた。勘違いというかこの3つを理解をしない限りは釣果が伸びない。
エサ釣りでもルアー釣りでも、目の前に好物を落とせば魚は食らいつく。条件反射的に。
サビキなどでアミエビを使っていると目に見えて魚が目の前でエサを食べているのが分かるだろう。なのになぜか小魚や外道しか釣れない事があるだろう。
ただ初心者はここでサビキ仕掛けを別のものに変えるという発想には至らないじゃないだろうか。サビキで食わんならあかんわ~ではなく、そのハリスと針(疑似餌という)が見切られている可能性があるとは考えないと思う。
基本的に魚はド近眼だが、近くならハリス1号だろうが0.8号だろうが全然見えている。もちろん針も見える。魚から見えづらいことが売りのハリスだが止まっていれば全然見切られるのだ。しゃくることで魚に見切られづらくなって他の雑魚よりも泳ぎの得意な大物が掛かることもある。
水中映像でも針と糸が付いている仕掛けだけ綺麗に避けて針がついていないエサだけ食べたり、エサから出ている針をうまくかわして安全な部分だけを食べている映像が見られる。大きなカワハギなどだ。
ただ、近くでじっくりと見せなければ食う。糸も針も魚から見えない角度なら全然食うのだ。フカセ釣りならオキアミの中に針を隠し込むし(サシエという)、安全に食べられるマキエの煙幕の中にサシエを混ぜた上、上から仕掛けが降りてくるなら下から来る魚には糸が見えにくい。そうして警戒心を解いた大物に食わせることが出来るのだ。ただそこまでやってもハリスを1.5号から3号に変えた途端パッタリと食わなくなることもあるから不思議だ。
ルアー釣りの場合なら、フィッシュイーターは逃げる獲物を追いかけまわしてガブリと食らいつくが、その習性を利用して匂いも硬さも形も全然本物とは違うルアーに喰わせる訳だ。ニセモノだと見切られないスピードでルアーを動かしつつも追い付けるタイミングも作ってやる必要がある。となると魚っぽい動きをルアーにさせなければいけないが、道糸が太すぎると遠投できなくて手前にいる魚しか狙えないし、ハリスの太さとルアーの大きさが合っていなければ本来の動きをしない。ルアーに付いているアシストフックやトレブルフックはマイクロベイトに見えるらしいし、アシストフックにキラキラの飾り(ティンセルというらしい)が付いているとアピール力が上がるなど、ルアーを魚に喰わせるための工夫と試行錯誤の歴史は長い。
このハリス・道糸・針のどれが一番大事か?と言われたら全部としか言えないだろう。そりゃハリスなしで道糸に直接針を結んでも釣れる時は釣れるだろうし、20cm程度のアジを狙うのにハリスを3号なんて極太にしたって釣れる時は釣れるだろう。ルアー釣りでも道糸がナイロンの6号だったりして50mしか飛ばなくても青物は釣れる時は釣れるだろうが、もしかするとただでさえ少ないチャンスを更に少なくしているせいで釣れないと思うと、変えたくなるだろう?
金に余裕がなかったり考えることが面倒なら、適当な選定の道具でも喰ってきてくれる魚が来るまで待とう。信じて投げ続ければいつかは何か釣れる。
最後に:釣れるまでやり続けるのは勘違いではない
以上が初心者が勘違いしがちな3選だった。これらは1回の釣行で釣れる確率を上げるために必要な知識だが、最終的に釣れる確率を上げるのは釣行回数だ。
近くでバンバン良い魚を釣っている人は、だいたいその釣り場が初めてではない。常連だったりその場所で釣り人と仲良くなって情報を得て、ようやく釣れるようになった人だ。どんな釣りが上手い人でも初めての釣り場ではボウズも全然珍しくない。それだけは覚えておこう。
そして釣れるまで竿を出す、釣れるまで投げ続ける日もたまには必要だ。1回目は1日中色んな仕掛けとエサを試してダメで、2回目はたまに仕掛けを変えながら1日中投げ続けて、3回目でようやく釣れる時合に釣れる仕掛けを探し当てられたら大成功だ。
ショアで爆釣している人は何十回連続のボウズを経てボウズ貯金を貯めていたということも全然珍しくない。みんな見栄を張って釣れた日はウキウキと報告しているがボウズの時は何も報告しない。
釣行回数を増やして試行錯誤して釣れた本命の1匹はとてつもなく特別な1匹だ。スーパーで500円で買える魚でもその嬉しさは何円出しても買えないものだからたくさん釣りにいこう。
余談:今まで一番釣れてうれしかった1匹
それが記事トップのハマチである。釣りを始めて2か月後に釣った念願の初の青物だった。62cmの立派なメジロサイズだ。
釣りを始めて1か月ほど経った時に、近くの堤防(徳島マリンピア沖洲)で青物を釣って持って歩いてる人が沢山いて、いつかは青物釣ってやるぞとは思っていたがルアーは投げるの下手だから自信ないし、泳がせなら周りに迷惑かけずに大物狙えるのでは?と思い立ってから仕掛けを買って毎週通い、1か月後に遂にタモに入れることが出来た1匹。
泳がせ始めて毎週土日は潮汐にかかわらず一日中やっていたが、朝に大型は掛かるがゴリ巻きすると毎回切られてしまっていた。今考えるととんでもないが、仕掛けは市販の泳がせ仕掛け(ハリス8号)なのに道糸はリールに最初から巻いてあったナイロン4号でやっていたのだ。メジロクラスがかかっても浮かせられっこない。なのにドラグはフルロックでゴリ巻きしていた。本当の本当にアホだ。5~6回はそれで切られた。
そしてテトラ帯での釣りだったため、釣り座によっては手前のテトラが瀬のようになっていて寄せても切られていたのだ。
ネットで泳がせのコツを調べて仕掛けを自分の道具と見直して、道糸をPE3号にして泳がせ仕掛けも自作するようになった(切られて毎日1セットロストしていたため)。朝4時に現地についてタモ入れが出来そうな釣り座を確保して、夜明け前から仕掛けを投入して回遊を待った。1km近くある堤防だったが見渡す限りみんなルアーだった。どう見ても俺以外に泳がせで青物を狙いに来ている奴はいない。テトラ帯で活かしバッカンを置くのも一苦労だからだ。
ドラグを緩めて待って、チキチキチキとドラグが鳴り、その後はジィーっとドラグが一気に走る。吞ませようとしていたのだが当時はベールを上げずに走らせていた。今考えれば呑ませられる訳がないが10秒待って合わせる。乗った。
そしてネットに乗っていた通り、ゴリ巻きする。糸をブチ切る勢いで。そして寄せてから濡れたテトラに飛び乗り、タモ入れする。アドレナリンが出すぎて本当に落水しそうだった。落ちなくてよかった(翌年5月にテトラでこけて5針縫うことになるが)
それが初めての青物との出会いだった。本当に自分が堤防からハマチが釣れるとは思っていなかった。海なし県育ちの感覚ではハマチはマグロと同じ感覚なのである。遠洋にいるイメージしかなかった。
ちなみに泳がせで初めて釣れた大物はその1週間前に釣れたシーバスだった。朝7時よりも前の最高の時間帯のできごとだった。ゴリ巻きで奇跡的に寄ってきてくれた。
50cmはあったと思うが、シーバスは臭いという先入観があったのでなんと記念すべき1匹なのにリリースしてしまった。ハマチの外道のハズレ魚だと思ったのである。バカだ。物心ついてから釣れた魚の中で一番の大物だったのにかかわらず。
何日か経った後に外洋で釣れた個体は臭くなく美味しいと見かけて、あんな食べるところがいっぱいある大物なんで逃がしてしまったんだ・・・としばらく悔やんだ。
これがそのナイロン4号にハリス8号仕掛けである。本当に運が良かった。シマノFX付属の黄色いラインが見えている。
立派なヒラメ。よく見ると口の方にビーズと金色の針が刺さっているのが見える。
シーバスが釣れた日は大潮だった。朝マズメも落ち着き始めた9時ごろに、ナブラが経ったところに活きアジ付きのエレベーター仕掛けをそのままぶん投げたらすぐ掛かった。トップでヒラメを釣るのは青物よりレアであろう。偶然トップに浮いてきたヒラメなんだと思う。
一日で大物を2匹も釣ったという泳がせ釣りのとんでもないポテンシャルを知ったXデーである。当然さっきと同じナイロン4号にドラグフルロックだ。40cmはあったが本当によく釣れてくれたもんだと自分にビックリだ。執念だな。
ナイロン4号の伸びの力でうまいこと切れずに済んだんだろう。テトラにも奇跡的に擦れず。本当に偶然が重なった1匹だった。ただこの時期はメジロクラスが掛かることが多く、翌週は仕掛けを切られまくることになるとは思いもしなかった・・・
泳がせで釣りの楽しさというか中毒性を知った俺だったが、最近はルアー釣りにハマった。先月12月にメタルジグで初のハマチを釣ったからだ。泳がせ釣りとは違うゲーム性の高さとダイレクトなアタリと、魚との力比べといえる強引なやり取りがたまらない。ルアーで釣れた魚の特別感は泳がせのそれとはまた違う中毒的な魅力がある。釣りはやめられない。金なくなっちゃうぜこんなんじゃ。